わたしにとっては宝箱!

君が作った美しい君に会いたいの

20240331

2024年1月、大好きなメンバーの1人を見送ってから1年が経った。「まだ1年か」と「もう1年か」の思いがある。4人には、まだ慣れていない。

去ったメンバーのペンライトが光る。みんなが彼を想い背中を押す、美しい形でのお別れをして、寂しさを共有し続けている。俺達は5人だからと言われる。けれども確実に、5人だったグループは4人になった。現場に行くたびに、グループを見るたびに、楽しさよりも喪失感を味わうことが増えた。正直しんどかった。彼を忘れたいわけではない。ただ、彼のことを意識させる事柄が多くて、いなくなってしまった事実を思い出して、悲しくなる日々。大好きなグループから、以前より少し距離を置いた1年だった。

 

それでもいつか、さみしい思いを抱えながら向き合える日が来ると思っていた。喪失が優しい思い出に変わることを祈りながら過ごす日々が続くと思っていた。2024年1月、一通のメールが届くまでは。

 

新しいグループ名が発表される!とドキドキしながらお知らせを開いた。すぐに違うと気がついた。でも分からなかった。誰かの脱退の意思とその理由が羅列された文章。脱退するメンバーの名前は文末に記載されていた。だから、最後まで分からなかった。心当たりが一切なかった。欠けていいメンバーなんて、ひとりもいないはずだった。

 

今回いなくなる彼は、猪突猛進という言葉が似合う人だった。いつもがむしゃらに、ひたむきに、前だけを見つめて走っている人だった。途中で怪我をしても物を落としても振り返らない人だった。彼の傷に絆創膏を貼り、落とし物を拾うのはいつも他のメンバーの役割だった。

愛の人だと思っている。バラエティーでの言動以外でも、いつも直接的に愛を伝えてくれる人だった。発表後、答えがほしくてひたすら彼の言葉を追いかけた。愛を求めている人だったんだなと気がついた。彼の考える愛は、直接的で分かりやすいものなのだと思う。だからいつもまっすぐだった。ならば、今までメンバーが彼に向けていた愛に、彼と比べてひどく恥ずかしがり屋な人たちによるたしかにそこにあった愛に、彼は気づいていたのだろうか。もし気づいていないのであれば、彼はさみしかっただろう。ずっとずっと、さみしかったのかもしれない。彼のグループアイドル人生を考え、少し悲しくなった。

 

祈りとは、愛の最上級だ。あの時、強制することではないから、5人の気持ちがこのまま20周年に向かうように、と祈っていたメンバーの心を想う。彼の叶わなかった祈りはどこに向かうのだろう。知名度をあげても、多忙になっても、ボロボロと手からこぼれ落ちていく宝物たちを、彼はどんな気持ちで見つめるのだろう。休養、卒業、脱退。彼の祈りはこんなにも非力だったのだろうか。

個を尊重するグループだ。だから彼の決断も尊重して背中を押す。でも、残された彼の夢は同時に消えた。3人で歩む新しい夢は出来たかもしれないが、少なくとも4人で歩む夢は潰えた。背中を預ける体温を失った。彼の個の夢は、彼の背中は、誰かに尊重してもらえたのだろうか。

 

やめる彼を見て、グループのことを好きになった。彼がいたから好きになったと言っても過言ではない。なのに彼は、私の好きなグループをやめるらしい。

グループのことも、彼のことも大好きだ。たからこそ、彼の夢を否定をしたくはない。でも彼のことが好きだから、好きなグループを諦めないといけない。よくわからない。あなたがいたから好きになったグループなのに。

 

夢を諦めてほしい。ここにいてほしい。自分の心と向き合わずに、昔に約束して描いた道を歩んでほしい。そう言えない程度には、彼のことを好きになってしまった。

夢を叶えてほしい。いつでも自分が思う道を選んでほしい。笑顔で送り出したい。背中を押したいと思う。そう思えない程度には、グループのことを好きになりすぎてしまった。

 

残るメンバーは、これが最適解であったと、必要な選択だったと思ってもらえるように努力しますと言っていた。前向きだ。でも、5人を好きなファンの1人として真っ向から否定させてほしい。

1人と3人が、今後どれだけ成功して、知名度を上げて世界から認められる存在になったとしても、最適解で必要な選択だったと思うことは、私は絶対にない。申し訳ないが、その結果は彼ら4人の努力や成功と比例するものではないのだ。

だって5人が好きだった。大好きだった。離れてよかったなんて思う日が来るはずがない。それだけは、それだけは否定させてほしい。そしてこの思いをどうか否定しないでほしい。

東京ドームも国立もやらなくたっていい。CDの売上が伸びなくたっていい。紅白に二度と出られなくても構わない。アリーナツアーの日数が減ってもいい。2018・19年のように、告知コーナーに言えることがなにもなくてもよかった。5人でいてくれればそれでよかった。バラエティ用のキャラクターとは違う、グループにいるときの空気感がなによりも好きだった。他と違って仲良しグループではなかった。私たちが知らない紆余曲折などいくらでもあっただろう。恐らく気が合わない5人だったはずだ。でもだからこそ、友情とは到底名付けることの出来ない、確かな愛があった。尊重があった。5人が好きだった。

上を目指すひとたちだから、いつまでもそんな状態でいられるとは思っていない。不変と停滞を望むファンと、変化と向上を望むアイドルは理解し合えない。分かっている。やっぱり彼らは眩しいくらいにアイドルだった。

 

別の道を歩む彼らのことを、心から応援する気持ちはある。でも、多分お別れだ。あの時が好きだったと思いながら、過去を最上と設定しながら、今の姿を追いかける辛さはこの1年で十分思い知った。もうこれ以上は無理だと思う。

ずっと大好きだった。ずっと大好きでいたかった。誇張ではなく、わたしの世界を変えてくれた人たちだから。与えてくれた幸せを、少しでも返せていただろうか。ああ、こんな形で、彼らと離れるとは思わなかった。さみしい。

 

陽のあたる場所にいてほしい。そんな愛の種類もあると、最後に教えてくれたひとたち。どうかこれからも、あなたたちが愛され続けますように。ひたすらに無責任な愛を許してほしい。大好きでした。